鬱ロックと呼ばないで
01. Pure Mood (2022 Remake)
誰か穴を埋めてよ
風が吹き抜けて寒いんだよ
焦りが脈を早め
なんだか頭が割れそうだよ
君はいつも頑張ってて
あいつは何をしてても楽しそうで
ああ、なんかもうさ
自分がみじめで仕方ないな いまさら
高鳴って、どうかして
君に委ねたんだ
馬鹿んなって、後悔して
根腐る
いっせーの 駆け出して
なんでこう差が開いてしまう?
02. 記憶に殺される
アンテナを張り巡らして
キケンを今日も察知して
最低な日と人々の足音避けてく
耳塞いでも 目塞いでも
どこで息をしてても
ふとしたとき
ときどきフラッシュバックする
まるで呪いのように絡みついて
ボクらの心を縛りつけている
たったひとつの記憶に殺される
いつも拳銃を振りかざして
無差別に誰かを撃ち抜いて
笑ってるんだ どいつもこいつも
アンテナを張り巡らして
キケンを今日も察知して
最低な日と人々の影に怯える
耳塞いでも 目塞いでも
覆い被さってくる
怪物に歯向かう術なんてない
まるで終わりのない地獄のように
ボクらの体を焼き尽くそうとする
たった一度の言葉に殺される
これはあなたのためと言って
“正義”で毒を注ぎ込んで
無自覚に死体の上に立っている
君のこと赦さないから
03. 悪意ばっかり
やけに攻撃的な
その言の葉の牙は
誰が与えたのでしょう
あんたの噛み癖はきっと
一生小屋に繋いで躾が必要ね
最低なニュースに
便乗で石を投げる
最低なあなたがたが言う
善と悪に境目など見えないね
ボクらまだ 全然なにひとつ
会話も交わしてないでしょう
ハナから誰彼構わず
殴りたいだけなら近づかないで
悪意だらけで出口もない部屋に
閉じ込められたままで
飢えることさえ許されず
整列で飼われた獣
丁寧に根張った劣等と
不安感とストレスフルな日常が
今日だって勝手な言動と醜い
争いの火種を生んでいく
ボクだって君だって
変に歪んだ定規で
直線を引こうにも
誰一人きっと引けやしないのに
石のように全然誰一人
歩み寄ることもしないけど
ハナからどうもこうも言わせず
抑えたいだけならどっか行って
悪意だらけで敵だらけなのは
誰の所為でしょう?
逃げることさえ許されず
教室で弾けた火種
ボクらまだ
ボクらまだ 全然なにひとつ
会話も交わしてないでしょう
ハナから誰彼構わず
殴りたいだけなら近づかないで
悪意だらけで出口もない部屋に
閉じ込められたままで
増えることさえ強いられて
整列で飼われた獣
04. サタデーインザナイトメア
コンビニで15分 食べたいものも見つけられずに
値段で選んだ菓子パン 確か昨日も食べたっけな
街中で遠くにクラスメイトを見かけて
ふと路地へ曲がった
なんかいま笑えそうな気がしなかったから
味のしない食事と 意味ない会話繰り返すうち
生きている感じすら もういつのまにか...
いく場所がどこだかも わからないから
夢の中に閉じこもる
諦めたいことばかり数えてくうち
ぼやけて見えなくなった
本当の自分自身を探し疲れた
噛みきれないものばかり食べさせられて
吐き気がやまなくなった
覚めない悪夢なら燃やしたい
他人に合わせて何度も書き換えていくうちに
掠れて読めなくなった地図を広げて
迷子かどうかすら もうわからないから
誰かいま迎えに来て
やりきれないことばかり重ねてくうち
疲れて泣けなくなった
本能で自分自身を隠してしまった
救われたいとかいまさら
もうほとんど思うこともなくなった
こんな私ごともう消したい
05. I am hollow
水平線の向こうを目指して
いつか沈んでしまった
あの船は二度ともう戻らないの?
地上での羽化をただ目指して
密かに死んでしまった
土の中のセミに光は届かないの?
形を持って襲いくる憂鬱と不安を
飲み干して中毒で死ぬ
もう 心なんていらないや
手先を鈍らせるなら
ほら 痛みなら耐えるから
跡形もなくしてよ
どうだっていいよ
今日も明日明後日も全部
躁だっていいよ
ドアノブが握れるなら
形をいつか無くすこと恐れているのも
馬鹿らしいけど振り払えず
もう ここから動けないや
手足が重すぎるから
ほら 空っぽの心臓なら
あげるから助けてよ
06. 生と死を科学する
十数年かかって至ったのは
単純で明快な結論だったな
きっとボクら誰も彼も
生きようが死のうが意味はない
数十年かかっていたはずの
一生涯を途中で終えんのも
きっといつか傍から見てしまえば
偶然のひとつでしかなくて
“いかないで” って声もかき消されてしまう
何も知らない知らない知らないまま
生きていけんならば幸福さ
いらないいらない
威圧 差別 自殺 愉悦も何もかも
誰も知らない知らない知らないような
宇宙の真理で幸福を
生み出そうとか阿呆くせえな
工事中の彼処が もとは
なんだったか全くもって思い出せない
きっとそんな呆気のない
終わりが誰にでも待っている
忘却こそが死だというならば
忘れ去られちゃ死んだも同然?
生きとし生ける屍
吹けば消えてしまうの?
誰も知らない知らない知らないような
ボクにまで課すなど残酷だ
いらないいらない
不安 欺瞞 苦難 時間も何もかも
何も意味がない身がない味がないような
授業の終わりの号令で
大人になってしまう
何も知らない知らない知らないまま
生きていけんならば幸福さ
いらないいらない
自覚 味覚 視覚 五感の何もかも
誰も知らない知らない知らないような
最低な気分の正体を
今すぐ教えてよ神様
07. それでも世界は続いていくから
私が死んでも時計の針の速度は変わらず
嫌いなアイツはきっと笑っている
全てがきっと今よりずっと上手に
進んでいくんだろう
全部関係ないけどさ
もういいよ って誰に言やいいの
私にはもう今さらさ未来など要らないから
夢に夢みる 恋に恋するあなた方が
眩しくて仕方ないや
大切な空気をムダにしてまで
死にたい奴が生きてちゃなんか申し訳ないし
誰かが死んでも地球の温度はいつものままで
嫌いな野菜を今日も残してみる
安全圏からごちゃごちゃ
なんか言ってるあなたの声など
ここまで微塵も届きませんでした
私にはもう今さらさ未来など要らないけど
終わり方とか 想像してもこわくなるし
苦しくて仕方ないよ
大切な命をムダにしたってさ
その先を見ようもないなら
どうだっていいや
いつにせよ死ぬまでは笑って生きるよ
それだけがささやかな抵抗
08. 人間になりたかった
強がってきたけどあたしほんとは
人間になりたかったよ
『ごめん まだ寝てていいかな』
『心が目を覚まさないから』
『それでも 別にいいよ』
『どうせここには誰もいないから』
うつむく君の目は
一切の光を返さない
その手に触れてみたいけれど
鏡の中で塞ぎ込んでいる
大丈夫 きっとここにも
いつか 迎えは来るから
なんでだろう この世は
弱虫には厳しくって
いつだか絵本で見た
ハッピーエンドなんて
どこにもないよ
生きてりゃいいことあるなんていうけどさ
人間のあなたに何がわかるんですか
◻️なのにおかしいとか
◻️としてかけてるとか
いい加減聞き飽きたし
なんでだろうあの子は
くるしくっても笑ってて
目が痛くなるや
きっと主人公なんだろう
あたしと違ってさ
生まれる前から間違って
はまらないピースに成り下がって
削ってみたりして
痛くて泣くくらいなら
容姿も年齢も性別も
声も色も名前も思考さえも
違いなんてなけりゃよかったな
欲望に駆られてる
あんたがたこそ種として正解で
あたしだけがみにくい
アヒルの子だとわかってるけど
それならば最後は白鳥のように綺麗に
飛んでいきたいよ
死にてえな 最低な気分から這い上がれず
食べたものも飲みこみきれずに吐き出す
意味ねえな 丁寧な御託は並べ疲れたんで
明日はいらないよ 知らないよ もうほっといてよ
- あとがき -
さいごまで聴いていただき本当にありがとうございます。
このアルバムのタイトルは世の中でよく言われる"鬱ロック"という呼称
に対する違和感というか、
私が好きな音楽はよくそういう括りでまとめられていることがあるんですけど
個人的には本質はもっとポジティブなんじゃないかって思うんです。
曲に落とし込む行為そのものが。
そんな気持ちを感じ取ってもらえたら私はとてもうれしいです。
2022.11.12 シシド
0コメント